アプリなどを通じて収集した
データで顧客体験を徹底的に向上
また、自社グループで運営するチケット購入システムの「Tickets.com」や「MLBアプリ」「MLB BallParkアプリ」「MLB.TV」といったアプリや配信サービスを通じて、顧客のデータを自社で収集し、顧客をより正しく理解することができるようになりました。
MLB BallParkアプリのユーザーが球場に到着すると、その位置に基づいた食事情報や席のアップグレードオファーが通知されます。選手がホームランを打った瞬間には、パーソナライズされたプッシュ通知が送られ、ホームランを打った選手のユニフォームを購入するためのリンクが提供されます。さらに、試合終了の30分後には、次の試合のチケットを購入するためのプッシュ通知も送られます。
加えて、デジタルプラットフォーム上での顧客との接点も増加し、来場者のみならず、テレビでの試合の視聴率も向上しました。これにより、球場に来る人が本当はどんな人たちなのか、理解が進んでいると言います。これまでは多くのメディアで「ワールドシリーズの視聴者の平均年齢は55歳以上だろう」と言われてきましたが、実際には「MLB.TV」の視聴者の平均年齢は45歳でした。
また「Tickets.com」でのチケット購入者の年齢の中央値は44歳、顧客データベースにおける平均年齢は41歳で、2023年に新たにMLBのファンデータベースに加わった顧客の平均年齢は36.2歳だといいます。
また、ユーザーがサイトで商品をカートに入れた後で買わずに離脱してしまう、いわゆる「カート落ち」を防ぐための販促活動も自動化されました。顧客がチケットを購入しようとすると、アドビが提供するデジタルマーケティングの各ソリューションと連携して、チケット購入と野球場への来場を勧めるメールが自動的に送信されます。さらにAIによるセグメンテーションを活用して、どのファンが最も購買意欲が高いかを把握し、それを基にSNS広告を配信しています。この結果、通常の販売促進策と比較して非常に効果が高まっています。
MLBのデジタル戦略は、ファン体験を向上させるための多くの施策を取り入れ、成功を収めています。ファンの興味や関心に合わせてパーソナライズした体験を提供することで、MLBはより多くのファンを引きつけ、満足させることに成功しているのです。