大リーグの「ピッチクロック」導入で
試合が劇的に変わった理由

 バレーボールと同様、さまざまなスポーツでもルール変更が行われています。記憶に新しいところでは昨年、米国の大リーグ(メジャーリーグベースボール、以下MLB)が、競技をよりエキサイティングにするためとして、いくつか重要な変更を実施しました。

 例えば、ピッチクロックの導入です。投手には投球までの時間制限が設けられ、走者がいるときは20秒以内(2024年シーズンからは18秒)、走者がいないときは15秒以内に投球しなければ、1ボールを取られます。このルールは、試合のテンポを速めるために導入されました。日本人大リーガーである大谷翔平選手や山本由伸選手も違反でボールを取られています。これらの制限時間はバッターの側にも存在します。

 また、守備シフトの制限も行われました。守備側は内野手を二塁ベースの両側に2人ずつ配置する必要があり、過度なシフトが禁止されました​。

 さらに、ベースのサイズも拡大されました。ベースは従来の15インチ四方から18インチ四方へと大きくなり、ランナーと守備選手の衝突リスクを低減するだけでなく、盗塁の成功率にも影響を及ぼす可能性があります。

 実際にこれらのルールの導入により、2023年シーズンの平均試合時間は前年比で約30分短縮され、盗塁数は40%増加しました。また、観客動員数も9.6%増加しており、これは新型コロナウイルス前の2019年よりも多い数字です。

 一方で、ピッチクロックに関しては、投手の負担が増えているのではないかという声も上がっています。今後、再度見直される可能性も否定できませんが、よりよい観戦体験を目指すというMLBの姿勢は、他のスポーツだけでなく、一般のビジネスも見習うべき点があるでしょう。

MLBの観客10%増、デルタ航空の会員200万人増!「あり得ない」を実現する最新デジタルマーケティング戦略の“現在地”2023年のMLB観客動員数は前年より9.6%増加