オフィス用品の通販業界で、価格競争が激化している。不況下での企業の経費削減の手短なターゲットがオフィス用品。その納入企業として顧客に選ばれるためには、値下げが欠かせないのだ。

 今年の春夏では、カタログの約1500品を、大塚商会が平均6.7%、カウネットが同8.1%値下げし、無料配送サービスを受けるための最低購入金額を、アスクルが400円、大塚商会が500円下げて1500円に改定した。

 また、インターネット上でのアウトレットコーナーや期間限定のセールなど、カタログ以外での値下げも拡充傾向にある。

 ただ、このまま価格競争を続けていけば、体力勝負になり、業界全体がジリ貧となってしまう。

 そこで大手三社は、価格戦略以外の施策にも注力している。

 カウネットはコクヨグループの強みを生かしてプライベートブランドの開発を強化。消費者の声を基に、ふせんがきれいに貼れる工夫を凝らしたノート“ふせん貼れりーなセミB5”など、価格以上の価値を訴える商品を拡充する。

 オフィス用品通販以外にシステムインテグレーション事業などを持つ大塚商会は、「オフィスにかかわるサービスを一気通貫で提供できるのが強み。訪問営業し、オフィス用品では個別価格設定などにも対応する」(高橋俊泰取締役)という。

 アスクルは、間接材(オフィス用品や工具など、生産に直接かかわらない一般消耗資材)の一括購買サービス「ソロエル」で新たな市場を開拓する方針だ。

 経済産業省によれば、2007年の企業間の電子商取引市場は全体で162兆円、前年比9.3%増にもなる。すでにネットを介した物流ノウハウを持つオフィス用品の通販企業にとって、市場が拡大している今はシェア拡大のチャンス。ネットで魅力的な価格をアピールして新規顧客を獲得し、他社とは違う商品やサービスの提供で顧客との結び付きを強め、さらなる成長を目論む。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)