ベテランが見せた意地の“逃げ”に胸を打たれた
6月29日、ツール・ド・フランスの第111回大会が始まった。初日はイタリアのフィレンツェからリミニまでの206kmで、DSMフィルメニッヒ・ポストNLのロマン・バルデ(フランス)が7年ぶり4度目のステージ優勝。総合成績でも1位となり、首位のリーダージャージ、マイヨジョーヌを獲得した。
レースは33歳のバルデがチームメートの23歳、フランク・ファンデンブルーク(オランダ)との2人逃げを決めた。バルデは来年6月の地元レースで引退することを明らかにしていて、今回が最後のツール・ド・フランス。アシスト役のファンデンブルークが必死にバルデを牽引し、最後は先着させた。バルデのウイニングポーズは後ろに下がったファンデンブルークを指差して「強いのはこいつだ」とアピールするものだった。
「自転車選手ならだれもが、たった1日でもいいからマイヨジョーヌを着たいと夢見る。最後となるツール・ド・フランスでそれを実現できたのだから最高に幸せだ」
大会初日にバルデが優勝し、バルデがマイヨジョーヌを獲得するなんておそらく予想した記者はいなかったはずだ。レースは俄然と面白くなった。大会4日目にはバルデの故郷のフランスアルプスに向かう。山に強いバルデが簡単にマイヨジョーヌを手放すとは考えられない。イタリアで開幕するツール・ド・フランスも悪くはない。
第1ステージのスタート地点には、沿道警備のためのイタリア警察が出動。もちろんイタリアでも自転車レースは開催されるが、イタリア人のパトカーもオートバイもツール・ド・フランスのIDカードを首からぶら下げて、うれしそうだ。