あなたが今元気でも、そう、最高に調子が良くても、これから学ぶ知識によって人として、リーダーとして、パートナーとして、友人あるいは親として、新たな視点を得られるはずだ。

自らの感情をコントロールして
暮らしやすい日々を手に入れる

 受講者からよくこんなコメントをもらう。「感情とは何なのか、そして自分で感情を選べるということを知る前に人生が半分も過ぎてしまったなんて……」「初めてカラーテレビを観たような気分です」。彼らはそう言いながら涙を流していた。中でも私が何より感動するのは子を持つ親からの感想だ。ある父親から幼い息子のエピソードを聞く機会があった。

 6歳のテオドルくんは何かにつけて怒ったハチのように手がつけられなくなり、怒りの感情を手離すのも苦手だった。そこで父親は、「感情というのは考えから生まれるけれど、考えは自分で選ぶことができるだろう?一緒に別のことを考えてみよう」と提案した。するとテオドルくんもそれは面白そうだという顔になり、数分後には最高の笑顔になった。

「パパ、できたよ!ねえ、見て。ぼくとってもハッピーになってるでしょう?」。テオドルくんとパパのヨアキムにインスパイアされて、ぜひここで学んだことを子供や若者にも伝えてほしい。

 感情イコール自分ではない。感情とは自分や世界を一時的に解釈したものに過ぎず、どう解釈をするかは自分で選べるということを。皆がそこを理解すれば、どれほど暮らしやすい世界になるだろうか。

 感情の大半は自分の考えによって選べるが、主に神経修飾物質と呼ばれるものが神経細胞の集まりをある方向に「押し出す」ことで感情という体験をつくり出す。