例えば親しい人を抱きしめて「他人との親密さ」を感じたいとする。ハグをするとオキシトシンとドーパミンが放出されるが、ここで私たちが主に求めているのはオキシトシン(人との親密さ)だ。そのためハグにおいてはオキシトシンが最も重要な効果を発揮する。

天使のカクテルの効果は一時的
“ここぞ”というときに活用すべし

 成長の旅を始める前に言っておきたいのが、身体の機能、そして6つの脳内物質によって必要な時に必要な場所で〈天使のカクテル〉をつくるための知識を紹介するが、〈天使のカクテル〉の効果はあくまで一時的なものだ。デートやプレゼンの際に役立つが、効果は長くても数時間(稀に1日~数日続くこともあるが)。

書影『最適脳 6つの脳内物質で人生を変える』『最適脳 6つの脳内物質で人生を変える』(新潮新書、新潮社)
デヴィッド・JP・フィリップス 著、久山葉子 翻訳

 読んでいて圧倒されないように言っておくと、起きている間四六時中瞑想して、運動して、健康的な食事をして、エンドルフィンを出して、冷水浴をやらなければいけないわけではない。

 子供の写真を見たり、感謝の瞑想をしたり、最低19%のノンレム睡眠の次は腸内フローラのためにバリエーションのある食生活をして、誰にでも親切にして……というわけでもない。脳内物質やツールを選んで練習し、ゆっくりと、しかし確実に人生をオートメーション化するための手段だ。

 しかしあまりにも精神状態が悪かったり、病気だったり、うつだと診断されている場合は、必ず医療機関を受診してほしい。