また、まれに「熱割れ」を起こすリスクも考慮しておかなければならない。というのも、ガラスは日光が当たる場所、当たりにくい場所などが生じて温度差が生まれると、ガラスの膨張率の差ができ、ヒビが入ってしまう。これを「熱割れ」といい、フィルムを貼ることで起こりやすくなってしまうのだ。

 熱割れを防ぐには、ガラスの種類や厚みなどさまざまな状況を加味した上で熱割れ計算を行い、適したフィルムを選ぶ必要がある。特に黒色など色の濃いフィルムは熱を吸収しやすく、ガラスに温度差が生じやすくなることを覚えておこう。

 2つ目は、日差しが入る前に、カーテンやブラインドを下げておくこと。これだけでも、室内の温度上昇を抑える効果がある。エアコンの稼働効率を上げるためにも、忘れずに対策しておきたいポイントだ。遮光・遮熱性能の高いカーテンやブラインド、ロールスクリーンなども数多く販売されているため、導入を検討するのも一案だろう。

 そして最後に、太陽光を遮るためには住宅の外側からの対策が効果的であることは言うまでもない。屋外にサンシェード(日よけシェード)を設置しておけば、室内に入る前の日差しや熱を遮る効果が期待できる。ゴーヤーなどのつる性の植物を用いたグリーンカーテンも同じ原理で、部屋の「外側」から日差しをカットしてくれる上、家庭菜園も作れるというメリットもある。

世界的な気候変動により
今後も異常な暑さが続く恐れ

 世界的な気候変動により、毎年異常な暑さが報告されている。今後、極端な暑さが解消されることなく、当たり前になっていくかもしれない。日本の夏を快適に過ごすためには、「窓」を中心とした暑さ対策がますます重要になってくるはずだ。

 リーズナブルかつ気軽な方法は一時しのぎにはいいかもしれないが、長期間の効果が続くとは言いがたい。窓を大きくリノベーションする内窓は、初期費用がかかるものの、高い省エネ効果が続く。補助金なども活用できるため、長い目で見るとお得な側面も大きい。日本の暑い夏を快適に過ごすための選択肢として、検討してみてはいかがだろうか。

(株式会社さくら事務所創業者・会長 長嶋 修)

さくら事務所公式サイト
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