学生写真はイメージです Photo:PIXTA

首都圏の親が中学受験を選択する大きな理由の1つに「荒れた公立中学に行って欲しくない」というものがある。しかし、事前に「治安の良い地域」や「教育熱心な親が住む地域」を調べておけば「公立中学ガチャ」に失敗することはないのだ。本稿は、じゅそうけん『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)の一部を抜粋・編集したものです。

中学受験の「偏差値50」は
高校や大学の「偏差値65」

 中学受験を語る上でも欠かせない「偏差値」の概念ですが、中学受験の偏差値には気を付けないといけない点があります。

 まず偏差値が母集団の中での位置を表し、真ん中が50になり、70、30といった具合で50から離れるほど上位、下位を表す点は高校受験や大学受験と同じです。しかし中学受験の場合、受験する層がそもそもかなり限られており、母集団のレベルが高いため、一般に想像する「偏差値50」と、中学受験で言う「偏差値50」には乖離がある点に注意しなければいけません。

 中学受験をする子供の割合は首都圏で20%ほど、全国では10%ほどですから、単純に中学受験をする層が小学生の学力上位20%、10%とするなら、中学受験の「偏差値50」は、その時点で首都圏の上位20%以上、全国では上位10%以上に入っていることになるのです。

 物理学研究者で受験事情にも精通する藤沢数希さんは、一般に中学受験系の偏差値は「+15」することで直感と近いものになると言っています。つまり中学受験の「偏差値50」は、高校受験や大学受験でいう「偏差値65」くらいに相当するのです。

 実際に東京の中学受験偏差値50近辺の学校を見てみると、成城中学校、成蹊中学校、國學院大學久我山中学校などが挙げられますが、これらの学校の高校受験時の偏差値を見てみると、成城高等学校65、成蹊高等学校60、國學院大學久我山高等学校69 となっています。

 この偏差値帯の中学校(高校)からは、毎年東大に0~5名程度、早慶に50名程度、GMARCHに100名程度合格しているので、中学受験偏差値50といっても侮ることはできません。学年トップクラスに入れば東大も射程圏内に入るレベル感です。

 なお中学受験の学力偏差値と合格可能性を公表しているのは主に中学受験塾大手です。日能研、SAPIX、四谷大塚などが有名で、SAPIXの模試は中学受験生の中でもハイレベルな層が受験するので偏差値が出にくいとされています。合格率80%を基準にしているところが多く、それぞれの塾の頭文字をとって「N偏差値」「S偏差値」「Y偏差値」などと呼ばれる場合もあります。