覚えることの原理をあらためて知り、効果的に記憶を定着させる行為を習慣化すれば、情報は必ず脳に長期記憶として残るものなのです。

40歳からの生活習慣は
20年後の自分へのプレゼント

 先日、あるテレビ番組で、家事上手な一般の方が出演されていて、その方はどんなに面倒でも目の前の家事を翌日に回さないと言っていました。その理由というのが、「今やって済ませておくことは、明日の自分へのプレゼントだと思っている」というのです。「なるほど!」と、膝を打つ思いでした。

 これをそのまま置き換えれば、40歳からの生活習慣は、20年後の未来の自分へ向けた最大級のプレゼントということになるわけです。

 詩人のジョン・ドライデンは、「はじめは人が習慣をつくり、それから習慣が人をつくる」と言いました。これから始める習慣の積み重ねが、60歳の自分をつくるのです。

 筋トレの好きな方が「筋肉は嘘をつかない」と言うように、「習慣」も嘘をつきません。個人差はあれど、結果は必ず形となって表れます。

書影『最強の60歳指南書』(祥伝社新書)『最強の60歳指南書』(祥伝社新書)
齋藤孝 著

「思い立ったが吉日」。この記事を読んでいる今日が、とりかかるのに良き日です。まずは一歩を踏み出してください。

 渋沢栄一は、「智・情・意」(知恵、情愛、意思)の3つを均等に保って成長した人を「完(まつた)き人」と呼び、目指すべき常識人として提唱しました。

 この記事を手にされた方が「完き60歳」に限りなく近づくために、これから紹介する習慣を1つでも多く取り入れ、実践し、その成果の喜びを心身で感じとっていただけたなら、筆を執った者としてこれ以上の喜びはありません。