フランチャイズ契約も
インターネットから
最初はサイトに告知掲載したものの効果はなかなか表れませんでした。半年が過ぎた頃、新聞社がおススメする地域密着型の専門家サイトの存在を知り、掲載先を切り替えました。それによって劇的に反応が増えました。
「木村さんのシート洗浄の特徴は『除菌・抗菌・脱臭』です」と第三者の見た紹介記事が掲載され、「お年寄りや病人、お子さんなど身体が弱っている方や抵抗力の落ちている方が使う車こそ、清潔でなければなりません」という木村さんの福祉業界への情熱もよく伝わりました。この記事は、まだ知名度の低い業務内容の告知そして潜在顧客に安心感や信頼感を持ってもらうにはぴったりでした。
また、自社のサイトとは別に、地元の人により分かりやすく安心感をもって知ってもらう為の「神奈川県にある車やバイクのカスタマイズ・洗浄・クリーニング、IKC鎌倉工房」というサイトを構築したり、お客様により安心感を持ってもらう為YouTubeで作業手順の動画をアップしたりとさまざまな工夫を凝らしました。
木村さんは決して焦りませんでした。事業を始める前から、成果は1年・3年・5年のスパンで考えていましたし、お父さんが亡くなった折に身近に見聞した葬儀社のビジネススタイルが頭に残っていました。それは注文を取りにはいかないが、どうしてよいかわからなくて困っている人に手を差し伸べる葬儀社。長い目でみればリピート率も悪くないのです。「車の内装ビジネス」もいざという時頼れる存在であることが大事だと考えていました。
1年目の後半からはポツポツと個人の利用者から連絡が入るようになり、神奈川県内はもちろん東京や埼玉へ出張サービスをする回数も増えてきました。手応えを感じた木村さんは心を込めて個人顧客相手のビジネスに取り組みました。開業2年を経た今では嘔吐の後の消臭に悩む問い合わせだけでも月に5~6件来るようになりました。一方で独立事業には限界もあります。
「私1人ではせいぜい関東近県しかカバーできません。そこでネット上でフランチャイズ募集をすることにしました。この車内清掃の作業は、洗剤と道具さえあれば特別な技術は不要です。ていねいにやりさえすれば誰にでもできます」
既に5社のフランチャイズ契約が成立しているといいます。フランチャイズといってもメーカーとコラボレーションして洗剤と用具を供給し、ノウハウを指導する以上のしばりはあえて付けていません。フランチャイズ制は「車の内装」理念の普及と正しい清掃法を継続して実施してもらうための方便だと木村さんは考えているのです。
「フランチャイズはひとりでに儲かる部分。儲ける仕事は自分が働いてつくります」。抜きんでた整備の技術、2つの会社で黒字化の実績をあげた経営力、トップを走った営業力を併せ持つ木村さんならではの発想です。
実際、車だけでなく、施設のイスなど建物内部の除菌・抗菌の依頼が来るようになり、介護車両の定期的な清掃契約も取って、経営は順調です。