宝石をオークションで
買うことの善し悪し

 ところで、小売店ではなくオークションであれば、店頭価格よりはるかに安く同品質の宝石を手に入れることができます。小売価格30万円程度のものが10万円ほどで落札されることもしばしばです。

 ただし、出品されているものが本物(天然石)であることは確認されていても、すべてが質の良いものとは限りません。玉石混交であることを承知したうえでしっかりと目利きをし、これというものが見つかった場合にのみ入札しましょう。そうすれば、幸運が訪れるかもしれません。

 ちなみに、オークションでは落札価格の他に別途手数料がかかります。

 最後に「100万円」です。

 小売店でルビー、サファイヤ、エメラルドの品質の良いものを購入することができます。ただし、サイズは1~2カラット前後で小さめです。特に無処理の美しいミャンマー産ルビーは稀少で価値が高いため、より小ぶりになります。

 宝石は「高ければ良い」とは限りませんが、「安くてお得」というのは通常あり得ないと思ってください。きちんとした宝石商であれば、品質の良いものを安売りしたりはせず、少なくとも価値に見合った価格で販売します。でないと、市場の健全性が保たれませんし、なにより商売として成り立ちません。

 ダイヤモンドであれば、人の手を加えていない自然のままのアンカットがおすすめです。地中150~660キロの深いところで33億~10億年前に結晶し、火山活動によって地表近くに押し上げられたときに、圧力の低下で形が変わったり、表面に三角形の模様(トライゴン)が刻まれたりした本来の姿を、そのまま楽しむことができます。

 ダイヤモンドは紀元前800年にインドで発見されましたが、その硬さゆえに以後2100年もの間、研磨することができませんでした。つまりダイヤモンドは本来「アンカット」だったのです。指輪やペンダントに仕立てて「自然の姿」を楽しむ宝石として、多くの方に知っていただきたいと思います。