宝石写真はイメージです Photo:PIXTA

いわゆるアクセサリーではなく「宝石の装身具」を買う際、気を付けなければいけないこととは?小売店で買うのとオークションで買うのはどう違う?宝石に関する様々な疑問を宝石界のレジェンドが的確にアドバイスする。※本稿は、諏訪恭一『知っている人は得をしている 宝石の価値』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

「宝石の装身具」
価格帯別アドバイス

 宝石は身に着けてこそのものですが、一般の方が、いわゆるアクセサリーではなく「宝石の装身具」を買う場合、どんなものを選べばいいのでしょうか。価格帯別に指南しましょう。

 まずは「数万円」です。

 残念ながら良質の宝石(の装身具)を入手するのは難しいです。素晴らしいアクセサリーに出合うことはできますが、「人から人へ受け継がれ、価値を持ち続けるもの」ではありません。宝石のように見えてしまうところが悩ましいのですが、よく考えてみるとまったくの別物であることがわかるはずです。

 続いて「30万円」です。

 小売店では、バンドタイプリングや宝石の入らない「K18、Pt950(貴金属に18金と純度95%のプラチナを使用)」の洗練されたジュエリーが手に入ります。価格帯を少し広げてみると、10万円台でも小粒の天然石を使った構想が良くていねいな仕立てのジュエリーが販売されています。素材の価値によっては50万円を超えるものも見られます。

 選ぶときのポイントは「宝石全体の美しさ」と「つけ心地」に加え、素材が本物(天然石)であること、貴金属が変質の少ない「K18、Pt900以上」であることです。

 この価格帯で買ってもいい主石のカラーストーンは、アクアマリンとアメシストでしょう。どちらも硬度が7以上あり、他のカラーストーンに比べて欠けたり割れたりしにくく、普段づかいを考えるならカボションカットを選ぶことで、欠けや摩耗の心配を少なくすることができます。

 お店については、クリーニングや修理といったメンテナンスに応じてくれるところを選ぶようにしましょう。バンドタイプリングやエタニティリングのように、日常づかいをして楽しむ宝石はどうしても汚れますし、何かにぶつけたりして石が多少動いてしまうこともあるからです。また10年、20年と長く使い続ければ、サイズが合わなくなることも考えられます。長く使い続け、かつ本来持っている価値を損ねないためにも、この点は忘れずに確認するようにしましょう。