上の写真は先に触れた、私が10年来、外出時は常に左手の薬指にはめているアンカットダイヤモンドのリング(地金はK22ゴールド)です。ピラミッドのようなたたずまいは、どこか神秘的で、力強さがあります。
このリングは、15世紀につくられたアンカットダイヤモンドリングを模したものです。
ダイヤモンドの研磨ができるようになったのは14世紀頃のことですが(ブリリアントカットが考案されたのは1700年頃)、15世紀当時はまだ、なにも手を加えずに指輪に仕立てることを好む人が大勢いました。研磨すると、ダイヤモンドに秘められた(と当時の人が思っていた)パワーが減じてしまうと考えられていたからです。
こうしたデザインのリングはじつは1~2世紀頃のローマ帝国時代にすでに存在していました。英国の大英博物館に展示されているリング(下の写真)がその確たる証拠です。
その歴史的な由来も含めて、研磨されたダイヤモンドとはまったく違った魅力があります。キラキラと輝かないので、ビジネスシーンで身に着けてもまったく嫌味になりません。
諏訪恭一 著
もちろん、アンカットは女性が身に着けても素敵なたたずまいを見せてくれます。リングだけでなく、構想次第ではペンダントやイヤリングなどに仕立てても魅力的な装身具になると思います。
この100年でダイヤモンドの産出量が増えたことで、ダイヤモンド自体の稀少性は低下しています。その一方で、原石が多く採れることによって、アンカットとしての潜在力を持つ原石(主に正八面体の形状を保っているダイヤモンド原石)が確保されており、その価値が広く認められるようになるかもしれません。
アンカットに興味を持たれた方は、またしても宣伝になってしまいますが、拙著『決定版 アンカットダイヤモンド』(世界文化社)をご覧ください。