それってあなたと関係なくない?

 でも「怒り」の感情を無くすことなんてできないし、「怒り」そのものは必要だ。

 社会に対する怒り、政治に対する怒り、日常生活のなかで理不尽なことに対する怒り、そして自分自身に対する怒り……。怒りがなければ批判はできないし、行動にも結び付かない。怒りは建設的にものごとを生み出すエネルギーにもなる。

 ただ、その「怒り」が、自分自身を切り刻んではいけないと、切に思う。

 SNSを見ると、「いったいこの人は何の仕事をしているんだろう?」と聞きたくなるほど、1日中ずっと怒っている人が溢れている。ネットだけではなく、街中でも店員や病院の受付などで怒りを爆発させている人がたくさんいる。

 ただ、それも理解はできるのだ。

 世の中、気分が落ち込むものだらけで、社会が悪い政治が悪いと嘆きたくならないほうがおかしいぐらいだ。

 でも、わざわざ自分から「怒り」の感情を起こすものに近づいている人も、多い。それは自傷行為に他ならない。

 SNSで「炎上」に乗っかりたがる人たちがいい例で、「それってあなたと関係なくない?」「あなたにとってはどうでもよくない?」という些細なことで、心身を焼き尽くすほどに怒っている人たちがとても多い。

 退院してから、そんな人たちを見るたびに、「死ぬぞ」と思う。血圧が上がって、ヘタすりゃ死ぬよ。

 死ななくても、精神を切り刻んで、病んでしまうよ。

 悪いが、私はそうはなりたくない。怒りに殺されるなんて、まっぴらだ。

 怒りは必要ではあるけれど、自分の許容範囲を超えて、「怒り」を探しに行きたくもないし、避けられるものなら避けていたい。

 怒りに自分から近づいていかない。

 心を痛めつけたくない。