更年期を迎えた「女の本音」を『ヘイケイ日記』(幻冬舎)で赤裸々に綴った作家の花房観音さん。本記事では、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)の発売を記念して、更年期に振り回される女性の「気分」について花房観音さんにご寄稿いただいた(ダイヤモンド社書籍編集局)。

【いつ終わる?】更年期の不調を乗り越えるための、たった一つの合言葉とは?更年期の不調はひとぞれぞれ(Photo: Adobe Stock)

月経が終わりかけて更年期がはじまる

 40代後半から生理の経血量が減り、「そろそろかな」と身構えた。

 閉経である。

 個人差はあれど、閉経は早くて40代前半、遅くて50代後半と言われている。

 10代の頃からつきあってきた、身体からほぼ毎月血液が流れ出る現象が終わりに近づいているのだ。

 生理前の不調を楽にするために飲んでいた低用量ピルも、婦人科の医者に「50歳になったら止めたほうがいい」と言われてやめた。低用量ピルは生理でのストレスをだいぶ抑えてくれていたので、不安になりもした。

 私にとっての生理での不調は、身体が怠いとか腹部の痛み以上に、精神的な落ち込みが激しかった。

 とにかく思考がマイナスな方向へといってしまう。

 普段ならスルーできることも許せなくなり、特に身近な人へ攻撃的になってしまう。恨みや妬みや悲しみなどのネガティブな感情が増幅して止まらない。特に私は、生理の前日が一番顕著だ。

 ある程度の年齢になって以降は、周りに迷惑をかけまいとじっと堪えるしかなかった。怒りや悲しみの感情に囚われて涙が止まらなくなり、朝まで眠れなくなるなんてこともあった。

 そして「生理のしんどさ」は、女性間でも個人差が激しい。私より大変な人もいれば全く不調を感じない人もいるようだ。

 だから生理が終わることにホッとしてもいた。

 しかしそれと同時に、閉経前後5年の「更年期」にも脅えていた。母をはじめ周りの女性たちから「更年期は大変だ」と聞いていたからだ。

 のぼせ、ほてり、眩暈、頭痛、倦怠感、不眠、不安や憂うつ等……更年期の症状は多種多様だ。あらゆる不調が列挙される。

 今私は53歳で、経血量は減りはしているけれど生理はまだあるし、1ヵ月に一度きっちり来る。

 低用量ピルをやめたのもあって、やはり生理前日の不調は訪れる。ひたすら「明日生理が来たら、この落ち込みや怠さから逃れられるから」と唱えて、夜になると睡眠導入剤を口にして眠り、やりすごしている。