59円バーガーを大量買いした時代

なぜマクドナルドは安価なハッピーセットを売るのか?「そりゃそうだ」と思える納得の理由Photo by Kenichi Ogura

 筆者のマクドナルド歴は大学生の頃にさかのぼる。

 友人たちは中高から通っていたようだが、私は親の目が光っていて行かせてもらえなかった。マクドナルドは身体に悪いものだと信じ込まされていたのだ。マクドナルドがハンバーガー(定価80円)を59円、チーズバーガー(150円)を79円に値下げして、大攻勢をかけていた2000年代前半の話である。

 下宿していた大学の寮では、寮生たちが何百個というハンバーガーを買い集め、冷凍庫に保存していた。今でこそ「大失敗だった」と悪い評価も目立つこの低価格キャンペーンであるが、私のようなマクドナルドを知らなかった人間に、食べるようになる習慣を植え付けた面もあった。

 以来、経済誌で仕事するようになってこともあり、マクドナルドの戦略には注意を払うようにしてきた。

 特筆すべきが、サイゼリヤの営業利益率が約6~7%(コロナ禍では赤字)であるのに対して、マクドナルドは約10%である点だ。コロナ禍で外食産業が壊滅的な被害を受ける中でも、デリバリーに活路を求めて、きちんと利益率を確保している。