野球の実力が突出しているからこそ、派手なスーツに負けない
「MVP男」デュラン選手の着こなし
【(3)大スターのオーラがあってこそ着こなせる!大胆パターン】
日本の感覚ではなかなか手を出せない大胆な柄も、スターが着るとここまで似合うのか――。テーラーで働く筆者ですら、そう関心させられるスーツ姿の選手もたくさんいらっしゃいました。
そのうちの一人が、ボストン・レッドソックスのジャレン・デュラン選手です。彼はホワイトとオレンジを基調にしたエスニックなフラワーモチーフが目を引く、大柄ジャガード織のスーツで登場しました。
白のスタンドカラーシャツは上まできっちりボタンを留め、ゴールドチェーンのネックレスをオン。本稿の(1)で紹介したトレンドも取り入れて、ジャケットの裏にもメッセージを込めていました。ただ、裏地には放送禁止用語が書かれているので、良い子はアップにして見ないでください。
こうしたヤンチャで「何がなんでも目立ちたい!」というスタイリング、個人的には大好きです。遠い異国のことで無関係ではありますが、日本の北九州の成人式を彩る「ド派手スーツ」のスピリットにも通じているように思います。いかがでしょうか……。
少し話が逸れましたが、ファッションでも「挑戦する姿勢」を見せたデュラン選手は、なんとオールスター本番で決勝ホームランを放ち、MVPに選ばれたのです。そうした「魅せる」姿は尊敬に値しますし、大いに応援しています。
カウボーイハットとウェスタンブーツで決めた
フィリーズのハーパー選手の装い
【(4)アメリカにもご当地文化あり!試合開催地への敬意を示す装い】
今回の試合会場となったテキサスは、言わずと知れたカウボーイ文化のお膝元。そのエッセンスを取り入れた、フィラデルフィア・フィリーズのブライス・ハーパー選手の着こなしも見逃せません。
他の選手にフォーマルな定番スーツが多い中、ハーパー選手はブルーデニムに白シャツとテンガロンハットを合わせ、足元にはウエスタンブーツ。そして極め付けは祖父譲りのベルトという、筋金入りのカウボーイスタイルで登場したのです。
ウエスタンブーツはテキサスで最も有名なブーツメーカーで購入したそうで、とても高額だったとか。日本でもデキるビジネスマンは、出張先の歴史や文化を取り入れた装いや掴みトークを準備していくものですが、見た目のインプレッションで土地に敬意を表すやり方はアメリカも同じなんですね。
このハーパー選手の凄いところは、開催地に合わせて七変化の装いで楽しませてくれるところ。過去のインタビューによると、2018年のマイアミで開催されたオールスターのレッドカーペットでは、刑事モノの人気ドラマで映画化もされた「マイアミ・バイス」を意識した着こなしだったそうです。興味のある方は検索してみてください。今回とはまるで別人のような服装です。
余談ですが、実はハーパー選手は美意識が高く、髪を乾かす際に2種類のヘアドライヤーを使い分けているとか。さすがはスターメジャーリーガー、そのファッションに懸ける熱意に脱帽です。