2024年のMLBオールスター
レッドカーペットのベストドレッサーは?

 さて最後に、2024年のレッドカーペットショーに登場した選手の中から、ベストドレッサーを選んでみたいと思います。

 それは、シンシナティー・レッズのエリー・デ・ラ・クルーズ選手。22歳のスタープレーヤーです。

MLBで「大谷翔平よりオシャレ」なスター選手は誰?銀座スーツ店の責任者がズバリ!Photo:Daniel Shirey/gettyimages

 デ・ラ・クルーズ選手のジャケットは、先述したピークドラペルに1ボタン。そのフォーマルさに反して、ボトムはスポーツウェアに寄せたゆるい作りとシルエット。これにキラキラシルバーのスニーカーで華やかさを足しつつ、上手くフォーマルとカジュアルのバランスを取っていました。

 紳士のドレスアップの基本、ポケットチーフも忘れていませんし、ご当地リスペクトのカウボーイハットもよくお似合いです。

 この装いの素敵なところは、「頑張ってます感」がないのにとてもお洒落なところ。ウエスト部分をひもで締めるドローコードのパンツは、日本でも20代~30代を中心にとても人気があるアイテムですが、このようにスーツと合わせたセットアップとして着ると、フォーマル感をプラスできるというお手本だなと感じました。

 男性が着こなすのは難しいと思われがちなピンクも、このジャケットのように、くすんだフューシャピンク(赤紫色に近いピンク)なら取り入れやすいですね。

 さらに、ファッションの決め手をインタビューで聞かれた同選手は「(クリスチャン・)ルブタンの靴。ルブタンが大好きなんだよ」とおっしゃったそう。この受け答えには、ファッショニスタとしての将来性も感じずにはいられません。ファッションと野球の両面での今後のご活躍を期待しています!

 このように、2024年のレッドカーペットは、選手たちの個性的なスタイルと大胆なセレクトが見事でした。いずれも素晴らしいファッションで、本記事ではどなたにフォーカスするか悩んだほどです。

 インタビューでは多くの選手が「スタイリストに手伝ってもらった」と言っていましたが、中にはパートナーのアドバイスを参考にした選手や自分で選んだ選手もいたようです。いずれにせよ、どのプレーヤーも野球選手としての実力が一流だからこそ、印象的な洋服に着られることなく、堂々と自己表現できたのではないでしょうか。

 クラシックなエレガンスから大胆なステートメントまで、多彩なコーディネートを披露してくださった選手の皆様に、ファッション界の一端を担うものとして、大きな拍手を送りたいと思います。