マイナーチェンジ前よりも
4馬力上がった理由

F:なるほど。良く分かりました。ところで今回、馬力の方は?

齋:4馬力ほど上げています。馬力だけでなく、フィーリングとレスポンスが違います。

F:すると少しは速くなった? マイナー(チェンジ)前のNDと競走したら、こちらの方が速いですか?

齋:うーん。恐らくトントンだと思います。マイナーチェンジで少し車重が重くなっているので、4馬力上がって、その分をちょうど相殺している感じです。

F:重くした分を相殺するために馬力を上げたのですか?

齋:それは違います。もともと、ずっと上げたかった。でもタイミングがなかったんです。今回いろいろと変わって値段も上げたので、この際だからイッキにやってしまえ、と(笑)。

F:どのようにして馬力を上げたのですか? エンジン本体に手を入れましたか?

齋:今回は、いわゆるPCM(Powertrain Control Module)チューニングだけです。具体的に言うと、今まではヨーロッパに出しているのと同じエンジンだったので94オクタン※仕様。でも日本のガソリンは100オクタンでもったいないので、日本専用の100オクタンに合わせたんです。要は今までは高いオクタンを使わずにロスしていたんですね。そのロス分を有効に使って4馬力上げたという訳です。今回の値上げで、今までやりたいけれどもコスト的に実現できなかった事がいろいろとできました。「値上げするんだからこれも変えちゃえ」と。木は森に隠せ、みたいな(笑)。

※オクタン…ガソリンの規格の一つ、オクタン価が上がるほど発火しにくくなる。JISの規程では、レギュラーガソリンはオクタン価89以上、ハイオクは96以上。

F:今回結構値上げしましたものね。でもこれはロードスターだけでなく、各社のクルマがバンバン値上がりしている。

齋:特に、材料費の値上がりが今すごいですからね。加えて安全の機能もどんどん乗っかってきている。コストが上がった分をまるまるクルマの価格に転嫁するわけにもいかないし、どこの会社も苦労しています。

F:うーむ……。