F:制動距離は変わらないけれども、姿勢が安定しているから怖くない、だから「効いた感じがすると」と。

齋:その通りです。今まではコーナーの手前で減速して、ガーッと侵入して行く時に、リアが浮いた感じがしていたんですね。逆に言うと、この「リアの浮き」をいかにコントロールして走るかというのがロードスターの楽しみでもあったのですが、ここをよりガシッと安定させたので、積極的に反動を受けることができるというわけです。

ND型ロードスターND型ロードスター(広報写真)

最新ロードスター、
“ドリフト派”には不満かも?

F:つまり、今までよりもグリップ走行寄りになったということですか? 今までなら軽くリアを滑らすぐらいの速度領域でも、ガチガチのグリップ走行になりますよ、ということですか?

齋:はい。明確にグリップ寄りです。コーナーの手前から「俺はリアを流して入りたいんだ」という方には、ちょっとやりにくくなったと思います。

F:すると、積極的にリアをコントロールしたい派の方。有り体に言えばドリフト系の方には不満が生じるかもしれませんね。「俺はドリドリしたいんだよ。なんでグリップしてんだよ」と。

齋:うーん。そういう方はご不満に思われるかもしれません。もう1段階ドライビングスキルが上になれば、思いっきり振ってコーナーに入って行けば良いので、いくらでもリアを滑らせることができるのですが、今までのようにガンって踏んだらバーンと出るような挙動は一切なくなりました。多少アクセルを乱暴に踏んでも、グッとこう踏ん張りながら立ち上がってくれるので、コーナーでも目いっぱい踏んでいけるんですよ。多少の雨の日でも大丈夫です。

 ですからケツを振って楽しみたい方は、申し訳ないのですが別の機械式LSDに変えてお楽しみください、ということになってしまいます。まあでもそういう方々は、我々が言う前にご自身でお好みのLSDに変えていかれるのだと思いますが(笑)。