特集『終の住み家の選び方』(全21回)の#5では、シニアの定年後の移住地として日本で最も人気があり、60歳以上人口の社会増が多い静岡県伊東市の今をレポートする。新型コロナ禍で起きた“移住バブル”で物件が払底。新築物件よりも中古物件の方が値上がり率が高いという現象が続いているが……。(ライター 船木春仁)
シニアの定年後の移住地として日本で最も人気があり、60歳以上人口の社会増が多い静岡県伊東市。中でも伊豆高原や城ヶ崎地区は、分譲地の管理体制の良さもあって圧倒的な人気を誇る。しかし、新型コロナ禍で起きた“移住バブル”で物件が払底。新築物件よりも中古物件の方が値上がり率が高いという現象が続いている。
伊豆高原の高級別荘地を開発し、これまで城ヶ崎地区も含めて36次の売り出しを行ってきたのが伊豆急グループだ。その物件販売を担う伊豆急コミュニティーの杉山英樹・販売担当課長は、「自然公園法による建ぺい率制限(20%)があるために分譲地の区画が大きいのが人気の一因だが、すでに開発余地は限られ、現在は中古物件の仲介やリノベーション再販が業務の中心」と語る。
その数は年間80件ほど。コロナ禍では良好な中古住宅を中心に、何年も買い手がつかなかった物件が飛ぶように売れたが、2023年夏ごろから問い合わせも訪問客数も落ち着いてきたという。
次ページでは現在の相場と、売り主、買い手双方の特徴、そして憧れのシニア移住を実現した人々が「想定外」と感じる事柄について述べていく。