静岡県伊東市など「シニア移住」の人気エリアで、売れる物件がなくなっている。また、シニア移住に失敗しないポイントはあるのか。特集『絶対安心!老後の住まい』(全9回)の#6では、沸騰するシニア移住について、箱根や伊豆の業者が本音を明かしてくれた。(ダイヤモンド編集部)
売れすぎて物件が払底!
不動産業者がうれしい悲鳴
「バブル以後、ずっと塩漬けだった物件が売れた」「商売としてはもっと売りたいが、売れる物件がない」――。
定年退職後に移住を希望する人たちに人気の高いエリアでは今、不動産業者がうれしい悲鳴を上げている。
神奈川県箱根町の仙石原にある箱根不動産の塚原耕一氏は、「コロナ禍でのテレワークの普及による若い世代の移住も増え、仙石原では売れすぎて物件が払底している。箱根町も移住政策を推進してきたが、提供できる物件がなければ政策も停滞してしまうと頭を抱えている」と語る。
シニア移住の一番人気といわれる静岡県伊東市も事情は同じだ。伊東市企画政策係の高橋直巳主事は、「シニア移住する人のほぼ全てがIターンで、しかも中古の一戸建てを希望する人が多く、市内の不動産業者の中には塩漬けになった物件の全てを売り切った業者もいると聞きます」と言う。
バブル以降、塩漬けになっていた物件は、売り主にも「売れれば御の字」という思いがあり、さほど値上がりすることもなく売れていったという。
地価は、例えば伊東市では最も人気の高い城ヶ崎海岸駅や伊豆高原駅近くで坪8万~10万円。一方で、駅から車で20~30分ほどの山側では坪2万~3万円だ。
仙石原ではプリンスホテル系の人気分譲地で坪5万~10万円。八ヶ岳南山麓の山梨県北杜市では清里地区で坪3万円、その他は坪1万~2万円といった相場だ。
かねてシニア移住では、「御三家」と呼ばれる人気エリアがある。
次ページでは、シニア移住で人気エリアの「御三家」の実名と実情に加えて、移住希望地ランキングやシニア移住で失敗しないための6カ条をまとめた表なども公開する。