老後に見放されないために
やっておくべき3つのこと

 では、どうすれば変われるだろうか。

 まずは、「自己認識を進化させること」だ。他人からのフィードバックや自己反省を通じて、自分の行動が他人にどのような影響を与えているかを理解することはできる。

 特に、組織の肩書やお金の威力が効かない場所で活動してみる(ボランティアなど)と、自己認識のレベルは劇的に上がる。

 次に、「失敗の自責化を進めること」である。

 傲慢な状態では、成功は自分のおかげ、失敗は他人のせいと思いがちだが、多くの失敗の場面では、自分にも他人にも責任はある。その際に自責部分を拡大して考える習慣をつければ、謙虚な姿勢が生まれてくる。

 そして、これらの方法を確実にするために、リーダーシップやコミュニケーションに関する教育やトレーニングを受け、「同じような状況にある人たちと交流すること」が大切だ。プログラムそのものにも価値がないわけではないが、むしろ他人の思考や行動を目の当たりにすることで、その他人の中に自分の(美しくない)姿を見ることができる。

 他者から見ると、自分もこんなふうに見えているんだろうなということが、明らかになるし、手に取るように分かる。こうした「気づき」は、自分の行動や態度を大きく変える力を持つ。そして、これらの取り組みを実践するなら、できれば現役の間から始めるのがよいだろう。

 ただし、定年後にも一定の立場があったり、再就職した会社で価値のある立派な肩書を得ていたり、使いきれないほどのお金を持っている人にとっては、いまさら謙虚になる必要はないかもしれない。最後の最後まで、偉そうにしているほうが、みんな従ってくれるからだ。

 だから、老年になって醜態をさらす人があちらこちらに発生するのはある意味、仕方がない。人が、従うべきか否かの判断をその人が偉そうにしているか否かで決める簡便法を使っている限り、事態は変わりようがないのである。