本当に偉い人と
傲慢な人の違いとは?

 本来、自信のあるホンモノと傲慢な人の違いは、その態度と他人への影響に顕著に現れる。ホンモノは自己認識が正確で、自分の長所と短所を理解し、謙虚でありながらも自身の能力に対する確信を持っている。彼らは他人の意見を尊重し、協力的な姿勢で問題解決に臨む。

 反対に、傲慢な人は自己を過大評価し、自分が最も優れていると感じる傾向があり、他人の意見を軽視しがちだ。彼らはしばしば自分の成功や地位を誇示し、他人を見下すことがある。そして、他人の意見を否定し、批判を個人的な攻撃と捉え、防御的または攻撃的になる。

 服装や見せ方も、これらの性格の違いを反映する。

 自信のある人は控えめで品のある服装を選び、状況に適したスタイルを保つ。彼らは自己表現の一環としてファッションを用いるものの、目立つことが目的ではない。

 一方、傲慢な人は自分の地位や財力を誇示するために、高価な服装や目立つ発言を選ぶ傾向が高まる。彼らは自分を際立たせるために外見にこだわることが多くなり、それがますます自己中心的な印象を与えるようになる。

 このように書いてくると、そういう傲慢な人はやがて嫌われて追い出されるのではないか、と思われるかもしれないが、そうでもない。

 一般社員や一般顧客、そして一般株主は、日々の言動をつぶさに観察する状況にはないため、目立つ服装や思い切った発言をして、その存在感を示してくれる人を歓迎し、そういう派手な人に従おうとする。

 最終的にその傲慢な人の意思決定が明確な失敗を招き、その経済的な立場や社会的地位から放逐されるまでは、傲慢でい続ける。放逐されなければ、最後まで傲慢なままだ。「憎まれっ子世にはばかる」ゆえんである。

 ただし、いまや100年といわれる長い人生、傲慢なままでい続けるのが幸せかというと、それはそれでまた別の問題だ。

 晩年まで傲慢な人は、組織から離れれば、または資産がなくなってしまえば、誰からも相手にされない。下手をするとこれまでの無作法によって蓄積された怨嗟(えんさ)を「倍返し」される可能性もある。少なくとも「困ったから助けてほしい」と懇願したところで、無視されるだけだろう。

 だから、一時期、ちょっと傲慢になることがあったとしても、傲慢さから得られる支配のカードを捨てて、謙虚に生きる術を身につけたほうがよいだろう。