高市早苗氏は、松下政経塾から米国議会スタッフを経験。小野寺五典元防衛相は線香配布事件で失職した時期にジョンズ・ホプキンス大学客員研究員となった。
主な総裁候補の中では、加藤勝信氏が元大蔵官僚でありながら留学・勤務経験がないが、たびたび英語でスピーチしているし日常会話には問題ない。
そのなかで、林氏のような政策への理解力と社交能力があれば、誰が相手でも強い。しかし、トランプ氏が相手となると、茂木敏充幹事長のような高い交渉能力がある人物が向いていると思うし、高市氏も方向性が合うだろう。
上川氏のようにメモを見ないと話せない人はトランプ相手だと難しい。河野氏は、地球温暖化や対中政策などにおいて、トランプ氏とは方向性がまったく違う。
もちろん、上記の話は国内・党内での人望は横に置いての話だが、これだけ国際人材がいるのだから、語学ができない人とか国際感覚に問題がある人を首相候補にすることもあるまい。
もちろん、森喜朗元首相とか二階俊博元幹事長などのように、語学はできなくとも外国人との社交が得意な人もいる。また、留学経験がなければ、思い切って夏休みにでも語学留学でもすればいいと思う。中曽根元首相は、戦後期で会話能力取得の手段が少なかったので、大使館のパーティーに片っ端から行って語学力を磨いたのである。
立憲民主党にも
多くの国際人材
一方、野党に目を移すと、立憲民主党の泉健太代表は、大学卒業後すぐに国会議員秘書になっているため、留学経験などはない。復帰を狙っている野田佳彦元首相は、外交に対する知識もさることながら、外国人との意思疎通ができず、外国首脳との会談で気まずくなるなど、問題が多かった。首相を離れて12年たつが、弱点克服のために努力をしたように見えない。
岡田克也幹事長は通産官僚としてハーバード大学ケネディ・スクールに短期留学。そのほか、立憲民主党の主要幹部には海外経験のある人が多い。
西村智奈美前幹事長はタイと英国に留学。大串博志選挙対策委員長は財務官僚でカリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学しインドネシア勤務。大島敦企業・団体交流委員長は日本鋼管時代にドイツ勤務。小川淳也元政調会長は自治省時代にロンドン勤務。水岡俊一参議院議員会長も教員としてインド勤務。斎藤嘉隆参議院国会対策委員長は教員としてオーストラリア研修。森本真治組織委員長も松下政経塾時代に海外研修。都知事選出馬で離党した蓮舫氏も、日本語と並んで中国語が母国語みたいなものだが、北京へ語学留学している。
こんなに国際人材がいるのに、それが党の代表選びで焦点とならないのが、今の立憲民主党のダメなところだろう。
(評論家 八幡和郎)