米大統領選TV討論会で放置された、満身創痍の米財政「3つのカウントダウン」Photo:Mario Tama/gettyimages

債務残高対GDP比は史上最高水準
財政で「3つの決断」迫られる新大統領

 米国で大統領選挙に向けた候補者の公開討論会が6月27日に行われた。

 バイデン大統領は高齢不安を抱え、トランプ前大統領は刑事訴追で有罪判決を受けての立候補となり、討論会でも口汚い個人攻撃が目立った。

 実際、メディアの報道もバイデン氏の高齢懸念やトランプ氏の裁判ばかりが注目され、今回の選挙は政策論というよりはキャラクターの争いとなっている感がある。

 だが、選挙後の米国には重い政策課題が待ち受けていることを忘れてはならない。その筆頭が、ほころびが目立つ米国財政のかじ取りだ。

 6月18日にはCBO(米議会予算局)が財政見通しを発表し、米国の債務残高はGDP(国内総生産)比で2023年度の97%から34年度には122%へと増加し、史上最高の水準に達する見込みを明らかにしている。コロナ禍と景気後退に巨額の財政出動で対応したことが響いている上に、その後の財政再建も遅れ気味だ。

 最近では、金利の上昇によって国債の利払い費負担が膨らみ始め、米国債の格付け引き下げが懸念されるなど、米国の財政は満身創痍(そうい)の状況だ。

 バイデン、トランプ両氏のどちらが勝つにしても、そんな米国財政の「3つの問題」について、重大な決断が必要となるタイミングが選挙後の米国には立て続けに訪れる。

 大統領選挙は、両氏が問題にどう対応するのかを示す「前哨戦」であり、決断の日に向けたカウントダウンは既に始まっているのだが、民主、共和両党の中でも議論はまとまっていない状況だ。