世論調査だけではわからない
大統領選の行方
バイデン米大統領が不出馬を表明して、カマラ・ハリス副大統領が民主党の大統領候補になる見通しだ。
世論調査ではトランプ前大統領と接戦で、ロイター通信が22、23両日に実施した調査では、ハリス氏の全米支持率が44%で、トランプ氏の42%を上回ったと話題になった。
ただし、私は現時点では、トランプ氏に3分の2くらいの勝機があると思う。米国大統領選挙の仕組みについては、4年前に書いた『アメリカ大統領史100の真実と嘘』(扶桑社新書)で解説したが、米国の選挙制度において、勝敗は総得票数で決まるわけではない。
ハリス氏はカリフォルニア州やニューヨーク州で圧勝するだろう。だが、僅差でも大差でも、獲得する選挙人数は同じ。つまり、勝負を決めるのはトランプ大統領が強い中西部のスイングステートと呼ばれる接戦州である。総得票数でハリス氏が2~3%リードしてはじめて、トランプ氏と互角となる。
それから、現在のハリス氏の高支持率は、「バイデンでなくてよかった」という安堵(あんど)感とハネムーンといわれる期間のご祝儀であり、それはいずれ覚めるだろう。
そもそも、大統領選に向けたテレビ討論会は、バイデン氏側から申し出たにもかかわらず、「その出来が悪かったので選手交代」というのはゲームのルールとしてフェアでなく、印象が悪い。
日本の次期総裁候補として
最も適任ではない人物とは
一方、日本では、9月に自民党総裁選挙が行われる予定だが、国内での人気だけでなく、トランプ氏とハリス氏という個性豊かな政治家と上手に付き合える人を選びたい。
岸田文雄首相は、バイデン続投なら再選される意味があるが、その切り札を失いつつある。今もし安倍晋三元首相がいたら、トランプ氏が大統領になれば、世界から首相再登板への期待が高まっただろうし、ハリス氏ともうまくやれただろう。その不在が改めて惜しまれる。
それでは、いま与野党の首相候補といわれる人たちで、誰が適任で、誰が避けねばならない政治家なのだろうか。