連載の新着記事を読み逃したくない方は、連載のフォローがおすすめです。メールで記事を受け取ることができます。

 財界や企業が、自分たちに有利になるように政治家に金を配ってゲームのルールを変えようとするのは、職業的良心からすれば当たり前の行為です。大規模チェーンを全国に展開する業者が、商店街の個人店舗を保護するような法律の撤廃を求めるのは当たり前です。ビジネスとはそういうものです。

 逆に商店街の側が、大規模店の進出を拒もうと陳情するのも当たり前。だって、誰もが生きていかなければならないのですから。自分の生き残りのために利益代表となる政治家を応援するというのは当然の話です。

 同じように、労働組合が自分たちの影響力を拡大しようとして、特定の政党に献金するのも当たり前です。日本医師連盟や日本医師会が診療報酬を上げようとして、政治家にルールを変えさせるのも当たり前なんです。それで折り合いをつけていくのが、民主主義です。

 一番の問題は、高級店でご馳走になったら嬉しくなって、「この先生のために頑張ろう」と思ってしまう有権者の感覚です。飲み食いをさせてもらった見返りとして票の取りまとめに歩いたり、特定の組織に利益をもたらすために政治に積極的に関与したりする国民なんです。こういう人たちが、日本の政治を腐敗させたといえます。

 民主主義の制度下では、政治家のレベルや政治家の腐敗が、国民の標準的な水準から著しく乖離することはないのです。