AI半導体 エヌビディアvsトヨタ 頂上決戦#5Photo:Bloomberg/gettyimages

8月1日、トヨタ自動車は2025年3月期第1四半期(4〜6月)決算で営業利益が1兆3084億円となり過去最高を更新した。認証不正に伴う国内生産減という逆風を物ともせず、好決算を叩き出せた一因は、ハイブリッド車(HV)販売の絶好調にある。一体、トヨタのHVはどれくらい儲かっているのか。ダイヤモンド編集部ではトヨタの主力4車種(ガソリン車、HV、プラグインハイブリッド車〈PHV〉、バッテリーEV〈BEV〉)のコスト構造を緊急試算。HVが“ドル箱”たる所以を数字で検証した。特集『AI半導体 エヌビディアvsトヨタ 頂上決戦』の#5では、トヨタが目論む「強かな電動車戦略」の全貌に迫った。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)

ガソリン車、HV、PHV、BEV…
4車種の「コスト構造」を丸裸に!

 逆風が吹き荒れる中でも、やはりトヨタ自動車は強かった。

 8月1日、2025年3月期第1四半期(4〜6月)決算で、売上高は前年同期比12.2%増の11兆8378億円、営業利益は前年同期比16.7%増の1兆3084億円となり、営業利益は4〜6月期としては過去最高を更新した。

 前日には、自動車の量産に必要な型式指定の認証を巡り、新たな不正が発覚。国土交通省がトヨタに「是正命令」を下す事態に発展し、問題の長期化は避けられそうにない。トヨタの業績を下支えした円安も一転、円高に反転しつつあり懸念材料は山積している。

 それでも、ひとまずは国内生産減少の悪影響をカバーし、好業績を叩き出すことに成功した。

 好決算の一因は、北米を中心にハイブリッド車(HV)販売が好調だったことにある。「トヨタ・レクサス」ブランドに占めるHV比率は40.1%に上り、採算性の高いHVがしっかり利益に貢献した。

 トヨタがHVのパイオニア、初代プリウスを投入したのは1997年のこと。それから四半世紀以上の時が流れ、売れば売るほど赤字だったHVは、業界屈指の高収益ブランドに生まれ変わった。

 それでは一体、トヨタのHVはどれくらい儲かっているのか。ダイヤモンド編集部では、パワートレインが異なるトヨタの主力4車種(ガソリン車、HV、プラグインハイブリッド車〈PHV〉、バッテリーEV〈BEV〉)のコスト構造を緊急試算した。試算には、東海東京インテリジェンス・ラボの自動車シニアアナリスト、杉浦誠司氏の協力を得た。

 次ページでは、驚愕の試算結果を明らかにする。4車種の「製造コストの実額」、それぞれの車の「コスト構造の分解(基本構成部品や電動化部品など)」に加えて、「1台あたりの利益額/損失額」「1台当たりの損益率」「先行投資回収比率」といった重要データも同時に大公開する。