病院で処方箋をもらって、薬局で調剤してもらう際に注意したいことがある。薬局を利用する時間帯によって、特別料金が加算されることがあるのだ。『医療費の裏ワザと落とし穴』の第283回では、どんな場合にいくら支払い額が増えるのか、詳細を解説する。(フリーライター 早川幸子)
なぜ病院で処方箋をもらい
薬局で薬を買うのか
前回は、2024年10月以降に先発医薬品を利用する人の医療費が高くなることをお伝えした。医療的な必要性がないのに、患者の希望で先発医薬品を利用すると、最高価格帯の後発医薬品(ジェネリック)との差額の4分の1が公的医療保険の適用外となり、薬局で支払う自己負担額が高くなる。
今後は先発医薬品を使うか後発医薬品を使うかで、自己負担額に差が出ることになるが、薬局での医療費に差が出るのはこのケースだけではない。
実は、全く同じ薬を調剤してもらっても、薬局を利用する時間帯によって特別料金が加算されることがあるのだ。今回は、利用する時間帯によって異なる薬局の特別料金の仕組みについてみていきたい。
医師から薬を出してもらう方法は、「院内処方」と「院外処方」がある。診療を受けた病院や診療所で、薬も処方してもらうのが「院内処方」だ。一方、医師が書いた処方箋をもとに、薬局で調剤してもらうのが「院外処方」だ。
どちらの方法で薬を出すかは医療機関の自由だが、薬価差益を減らし、国民医療費を削減するために、国は長年にわたって医薬分業を進めている。そのため、院内で薬を処方するより、処方箋を書いて薬局に患者を回した方が、医療機関の収入が高くなるような診療報酬体系をつくって医療機関を誘導してきた。
こうした国の政策によって、23年は80.2%の医療機関が院外処方を行うようになっている(厚生労働省「令和5年社会医療診療行為別統計」)。つまり、現在は病院や診療所で処方箋を出してもらい、薬は薬局で調剤してもらうというのが一般的な流れになっている。