ドラマで鈴鹿央士さんが演じた
「藤井君」にはモデルがいた!

 受験は本当に人間性で決まるのか――。筆者の知人には、その答えを知る重要人物がいます。それが、先述した藤井君のモデルとなった西岡壱誠(にしおか・いっせい)さんです。

 西岡さんは現役の東大生でありながら、『ドラゴン桜2』の編集を担当。同作品に情報提供を行う東大生集団「チームドラゴン桜」のリーダーも務めていました。現在は教育事業や出版事業を手掛ける「株式会社カルぺ・ディエム」を経営するかたわら、『ドラゴン桜で学ぶ 伸びる子供の育て方』など40冊以上の書籍を出版しています。

 マルチな才能を発揮している西岡さんですが、実は「2浪」を経て東大に合格した過去があります。そして藤井君のモデルになっただけあって、受験生時代は本当に「性格が悪かった」といいます。西岡さんは高校生時代の自分について、こう語ります。

「体育の授業を無断で休んで勉強したり、体育祭や文化祭の最中に(行事への参加を)サボって勉強をしたりしていました。だから学校の先生からは、『お前は成績よりも先に、性格をどうにかしないと東大には行けないぞ』と怒られていました」(西岡さん、以下同)

 人の話を聞かず、とにかく勉強時間を確保することが大事だと考えて、1日15時間勉強をしていた西岡さん。しかし、しゃにむに勉強を続けたものの、現役時と1浪時の東大受験は失敗。2浪に突入したことで、今まで自分がやってきたやり方を反省し、周囲の人の話を素直に聞くようになったそうです。

「頭のよかった知人や先輩、東大に受かった友達に『ノートを見せてください』『どうやって勉強しているの?』と聞きまくったのです。そうやって、教えてくれた50人分の勉強法を全部試していきました」

「(従来は)自分がやっていることが正しいかどうか分からなかったのですが、そうすることで、賢い人がどのように勉強しているかが次第に分かっていきました。今までの自分を反省して、人の話を聞いたり、頭を下げてお願いしたりできるようになったおかげで、いろんな視点を学べました。複数人の意見を参考にして、物事を多面的に見ることの重要性も知ることができました」

 こうして西岡さんは、とある東大模試で全国4位になるまで成績を上げ、東大の文科II類に無事合格したのです。彼はまさに「受験は人間性で決まる」を体現した人物だと言えます。

 ただもしかすると、「西岡さんがもともと優秀だったから東大に受かったんでしょ」「性格が悪くても難関大に受かる人はいる」と半信半疑になっている読者の方がいるかもしれません。そうした方に向けて、私の実体験をお伝えします。