暦の上では365日で1歳
でも、体の年齢はそうと限らない…

 老化はあらかじめ遺伝子に組み込まれているプログラムであり、いろいろな原因による障害が細胞に蓄積された結果として起こる「機能低下」であると考えられます。

 プログラムを変えることはできないので、細胞を傷つける原因と考えられる活性酸素や紫外線、ストレスなどをなるべく避け、抗酸化力の高い食品を取ることで「細胞の回復力」を高めることが、細胞の老化を防ぐ方法としてこれまで主に推奨されてきました。

 しかし、いくら外からの刺激を減らしても、細胞そのものの機能が低下したままでは、老化を食い止めることはできません。そこで注目されているのが、機能低下した細胞を再び活性化させるシステム、すなわち「細胞再活性化」です。

 最近の研究では、人によって体の老化速度であるPOA(ペースオフエイジング)に差があることも分かってきました。

 ダニーデン研究と呼ばれるその研究では、ニュージーランド南島のダニーデン市で、26歳から45歳までの20年間の老化度を計算し、1年の間にどのくらいのペースで生物学的年齢が進んだかを数値化しています。それにより、老化のペースは各人によって大きなばらつきがあることが明らかになりました。

 人間は、誰でも暦上は同じく365日で1歳年を取ります。しかし、体の年齢は、365日で1歳とは限りません。人によって365日で0.4歳しか年を取らない人から、2.4歳年を取る人まで幅があるといわれます。1年で2歳の差は、見た目に相当な違いが生まれてくると思います。

 まだ研究段階のため、推測ではありますが、老化のペースにばらつきがあるのは、人による細胞活性の差が影響しているのではないかと考えられています。細胞は、日々分裂を繰り返し、常に元気な細胞をつくり出しています。分裂を繰り返しても体に異変が起きないのは、細胞内にあるDNA一式が正常にコピーされるからです。