約8割の人がやってない「老化を防ぐ」食事習慣とは?【老化研究の第一人者が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

不老不死は古来、世界中の権力者も追い求めてきた人類の夢だ。ここ10年の間に老化・寿命研究が急速に進み、抗老化が現実のものとなりつつある。老化を遅らせ、高齢になっても健康を維持して若々しい体を手に入れるにはどうしたらよいのか。最先端の老化・寿命研究で得られた知見をもとに、抗老化研究の第一人者である世界的権威が自身も実践している抗老化メソッドを聞いた。(取材・文/医療ライター 福島安紀)

朝食を食べて
体内リズムを整える

 抗老化研究の分野では、エネルギーの産生に不可欠なNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)という補酵素が注目を集めている。NADは各臓器の中で産生され、老化•寿命を制御する酵素の「サーチュイン」を活性化させるが、その量は加齢と共に減少し老化の引き金になる。NADを増やして老化を防ぐ方法はあるのだろうか。

「NADは、約24時間周期のサーカディアンリズム(体内リズム)に合わせて、人では活動期の昼間に高くなり、夜間に低くなるというように変動しています。NADを最大限産生させて老化を防ぐためには、活動期の最初の方に最も高いカロリーを摂取する、つまり朝食をたくさん食べて、サーカディアンリズムを整えることが重要です」
 
 そう指摘するのは、老化・寿命研究の世界的権威で、米国ワシントン大学医学部卓越教授の今井眞一郎先生だ。

 ところが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査(2019年)」によれば、日本人男性の朝食欠食率は高く、20代が27.9%。30代27.1%、40代28.5%、50代22.0%で4人に1人が朝食を食べていないか、菓子や果物のみで済ませている。女性の朝食欠食率は20代が18.1%、30代22.4%、40代17.1%、50代14.4%で、やはり5~6人に1人は朝食をおろそかにしているのだ。