食事写真はイメージです Photo:PIXTA

現代の日本人はかなりの低栄養状態で、なんと戦後の飢餓状態に近いという。がんや脳卒中やうつ病、肌や髪の衰え、勃起不全などを遠ざけるために、コレステロールは積極的に摂らなければいけない。本稿は、和田秀樹『コレステロールは下げるな』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

動物性たんぱく質の摂取量が
増えるにつれて長寿命化

 なぜ日本人の寿命が延び始めたのか?それは他の国と同じように、肉を食べるようになったからです。

 戦後、暮らしが豊かになるにつれ、食生活も大きく変わってきました。

 図14は、「植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の摂取量の推移」の調査です。

図14:日本人の1人1日あたりの植物性たんぱく質と動物性たんぱく質摂取の推移同書より転載
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 1800年代には肉をほとんど食べなかった日本人も、明治時代に入ると、少しずつ肉の消費量が増えていきました。そして、動物性たんぱく質が増え、植物性たんぱく質が減ってくるのと同時に、寿命が少しずつ延び始めます。図14で、動物性と植物性が逆転する頃から、平均寿命は一気に延び始めました。

 このことは、柴田先生(編集部注/柴田博医師)が行った「百寿者」の実態調査でも証明されています(図15)。日本人の平均よりセンチナリアン(=100歳以上の人)のほうが、多くのたんぱく質を摂っていることがわかります。

図15:センチナリアンの総熱量に占めるたんぱく質熱量の割合同書より転載
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 100歳を超える人は、当時はかなり珍しい存在でした。日本全体でも500人ほどしかいなかったと言われます。イメージとしては草食でガリガリに痩せた“仙人”が思い浮かびます。柴田先生も調査前は、そう思っていたと言います。ところが実際に会ってみると、想像とはまるで違っていたそうです。好んで肉を食べ、ぽっちゃり太った人が多かったのです。

現代の日本人は栄養失調
戦後の飢餓に近いレベル!?

 もう一つ、驚きの実態をお伝えしなくてはなりません。

 それは、現代の日本人が低栄養状態にある、という厳しい現実です。

 図16は、日本人の総熱量摂取量の推移です。みなさんが常々気にしているカロリーのことです。

図16:日本人の総熱量摂取量の推移同書より転載
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 1946年の終戦直後には、日本人の摂取カロリーは1903kcalでした。飢餓状態と言われた頃の数値です。

 その後は1960年代、70年代と順調に増えていくのですが、1980年代からは減少に転じます。そして2010年には、なんと1849kcalに。戦後の飢餓状態の頃よりも低くなってしまったのです。その後、やや持ち直しましたが、2019年は、1946年と同じ数字です。

 つまり、私たち日本人は今現在、栄養失調の状態にあると言えるのです。

 戦後の頃は、肉や脂肪は食べられませんでしたが、米などの穀物を食べていました。これらの糖質は熱量(カロリー)が高いため、ぎりぎり持ちこたえられていたわけです。