旧酒蔵から1924年に良い水を求め、JR菊川駅近くで売りに出された製茶工場を改修して移転。その後、市の区画整理事業に伴い、03年に蔵を建て替えた。「アルコール添加は面倒」と、14年に全量を純米造りに変え、信念を貫いた辛口の純米酒だけを醸す。甘い酒は皆無で、酵母は協会9号酵母を主に少量仕込みを徹底。「料理に合い、味に酸味があって燗にも向きます」と圭祐さん。酒は主に静岡県内で消費され、定番の「小夜衣」のほかに、地酒専門店限定の「森本」があり、独自のキャッチコピーで酒の個性を表す。「自作流 速醸やめてみた 必殺 速廃仕込」や、生原酒の「絶対生厳守」、火入れ酒の「火の用心」などで、ファンの心をわしづかみにする。

新日本酒紀行「小夜衣」小夜衣 特別純米酒 令和誉富士
●森本酒造・静岡県菊川市堀之内1477●代表銘柄:小夜衣 特別純米 からくち、小夜衣 純米酒 レトロラベル、小夜衣 純米吟醸 彗星●杜氏:森本圭祐●主要な米の品種:令和誉富士、彗星、山田錦
新日本酒紀行「小夜衣」初代森本庄平さんの肖像画と森本シリーズ Photo by Yohko Yamamoto
新日本酒紀行「小夜衣」事務所内 Photo by Yohko Yamamoto