予測3
タワマンの価値はむしろこれから上がっていく

 ここまでの整理からわかることはタワマンはむしろ時流に合致しているということです。

 高度成長期で都市部の人口が増えた時代は、郊外につぎつぎとニュータウンが建設され、そこに「夢の一戸建て」を実現した若いカップルがつぎつぎと移住してきたものです。

 ところがその世代が高齢者の年齢に達すると、郊外の戸建てはどうしても生活には向いていません。遠くまで買い物に出るのも徐々に苦痛になりますし、戸建ての2階に上がるのも大変で、「生活は1階で2階は物置」といったスタイルが定着します。

 そのようなエリアで、金銭的に余裕がある富裕層の高齢者がタワマンに買い替えて都心部に移住するというのは理にかなった経済行動です。

 都市計画的にもタワマンは理にかなっています。人口が国全体で減少し、自治体の予算も限られる中では、都市のコンパクトシティ化は自治体が目指すべき方向です。そしてタワマンはそのコンパクトシティ構想をまさに体現する存在です。

 ここで気を付けるべきことは、とはいえタワマンは普通の建造物よりも高コストだということです。ですからいくらコンパクトシティだからといって、人口の少ない地方都市にタワマンがつぎつぎと建つという状況にはなりにくいのです。

 むしろタワマンの高コストが吸収できる地価の高いエリアにタワマンは集中しています。地価が高ければ高コストでもリセールバリューが生まれます。次のオーナーに高く売れるのであれば、高くても購入するオーナーが現れます。

 この構造があるために結果として全国のタワマンの棟数は東京479棟、大阪273棟、神奈川144棟といった具合に大都市圏に集中するのです。

 神戸市の中心部にタワマンが集中してしまったのも、この経済原則が関係しています。ただこの議論を通じて考えると、将来的にはこんな新しい政策を考えてみてもいいかもしれません。