予測2
神戸市のようなタワマン建設規制は状況によっては有効

 では、なぜ神戸市はタワマン規制を実施しているのでしょうか。これは実はある状況下においては有効な政策だと考えられます。そこで問題になることは、神戸市長が提起したニュータウンのスポンジ化現象ではなく、むしろタワマンが密集することによる都市インフラのパンク問題です。

 神戸市でもタワマンが密集したことにより市立こうべ小学校で児童数が3年で1.8倍に増え、校舎のキャパシティを超え、児童が仮設教室で授業を受ける状況に陥っているといいます。

 まあそれを言い出したら私のように人口が増えていた時代に小学校に通っていた世代は、自分もプレハブの仮設教室で学習した世代なので、それ自体は乗り越えられる問題だとも思います。ただ現状でめいっぱいということなので、神戸市の中心部での建設は打ち止めにして、これ以上は増やさないという判断は、自治体としてはありだと思います。

 都市計画というものはバランスが必要です。タワマンがひとつたつとそこに2000人以上の人口が増加します。そのことで公共交通機関の交通量がパンクすることも考えられます。

 実際、東京でタワーマンションが多く建っている大江戸線の勝どき駅はパンク状態な時間帯があります。朝のラッシュ時に、湾岸エリアのオフィスに出勤する人と、同じエリアのタワマンから都心へ出勤するひとたちが交錯して、たいへんな人混みを生んでいます。

 ですから増えすぎた状態で、都市インフラがそれを吸収できないようであれば、エリアを限定してタワマンのこれ以上の増加を抑えることは政策としては正しい判断です。これが今、神戸市で起きていることの本質だと考えられます。

 だとすると実は、このような規制は全国に広がるのではなく、むしろ是々非々で大都市圏のさまざまなエリア単位で、一時的に同様の規制を導入すべきだという議論が、東京、大阪、神奈川などでも起きるのだろうと予測できるのです。