先日、チェコのプラハ旧市街を訪れる機会があり、東ヨーロッパの古都で数日間を過ごしてきた。20年近く前にも1度訪れた街だったが、当時の面影がほぼそのまま残っていることに感銘を受けた。ところが、ホテルから日本のニュースサイトにアクセスしようとした際に、普段は意識していなかった日欧の違いに、否応なく気付かされる羽目になった。今回は、それをきっかけに見つめ直したネットプライバシーの問題を取り上げようと思う。(テクノロジーライター 大谷和利)
夏休み、チェコ・プラハの街をぶらぶら
まずは、せっかくなので、直近のプラハの様子を紹介しておこう。今も昔もプラハで1番の観光名所といえば、カレル橋とその先にあるプラハ城だ。前回の訪問時には気付かなかったが、チェコ語の「カレル」は英語の「チャールズ」に当たる。カレル橋は、神聖ローマ皇帝カール4世(=ボヘミア王カレル1世)の時代に建設が始まり、1402年に完成した。ただし、当初は単に石橋やプラハ橋と呼ばれ、カレル橋と名付けられたのは1870年のことだという。
折しも今年は、「変身」で知られるチェコ出身の小説家フランツ・カフカの生誕140周年に当たり、街中のギャラリーでもそれに因む展示が行われていた。しかし、どこの国、どこの町にもイタズラ好きはいるもので、フランツ・カフカ博物館のポスターの肖像にはひげが描き加えられていて笑いを誘う。
イタズラといえば、旧市街を見下ろすレトナー公園の高い木のてっぺんには、どうやって置いたものか一脚の赤い椅子が放置され、あたかもアートのインスタレーションのようであった。