「それにしても暑すぎやしないか?」酷暑が劇的に変えてしまった、老若男女の“夏物語”日本の夏は確実に変化している。人々の暮らしに起きた「異変」を見てみよう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

夕立が「ゲリラ豪雨」と表現されるようになって久しい。美しい日本語が失われたと見る向きもあるが、近年の夏の雨の激しさを表すには、こちらの方がしっくり来るから仕方ない気もする。このように、夏の風景は徐々に、確実に変化している。10年前と明らかに変わった「日本の夏」の現在地を考える。(フリーライター 武藤弘樹)

「夏の風情」どころではない
毎年更新されていく記録的猛暑

 夏の過ごし方や夏の風物詩が変化してきている。近年の夏が異様に暑いからであり、毎年のように記録的猛暑と言われ、実際に記録を更新しながら暑さを増していっている夏である。いつの頃からか定着した「危険な暑さ」というフレーズは、熱中症などへの危機意識を高めるとともに、過去より明らかに暑くなった夏の手応えとその情緒を端的に伝えてくれている。

 それにつれて人々の生活様式が変わるのも無理はない。”四季折々”という言葉があるように、日本には季節ごとにその表情があって、夏には夏の風情があるのだが、その夏の風情がこの暑さによってやや変わってきているようだ。

扇風機を持つ女子が続出
新手の清涼アイテムたち

 まず目につきやすい変化は、涼をもたらす身の回りのアイテムだろうか。

 手に持てる小型の扇風機……すなわちハンディファンの普及はめざましい。夜に広まってきたばかりの製品であるため進化が凄まじく、強い風が送れるようになったり、首にかけてハンズフリーが可能になったりしたかと思いきや、それがさらにデスクの上で自立して卓上扇風機として使用できるものまで登場している。

 朝の通勤通学時に顔に風を当てている女性が多く見られるようになって、新たな夏の風物詩となりつつある。顔への送風は汗でメイクが崩れてしまうことへの対策になるそうで、男性としては「女性の皆さん、いつもお疲れさまです」という気持ちだが、涼を感じさせてくれるということで、たまに男性が使っているのも目にする。