(5)「~のバランスをとる」 例:短期と長期のバランスをとる
⇒これは「~を最適化する」と同じ。バランスをとるのは当たり前
⇒どうなるとバランスがとれた状態で、そのために何をすればよいかを相手に伝えないと意味がない

(6)「~を徹底する」 例:収益化を徹底する
⇒徹底できるならするのは当たり前
⇒具体的にどのように徹底するのかを相手に伝えないと意味がない

(7)「~を強化する」 例:各事業を強化する
⇒これは「~を徹底する」と同じ。強化できるならするのは当たり前
⇒具体的にどのように強化するのかを相手に伝えないと意味がない

(8)「~を実行する」 例:事業投資を実行する
⇒やっていることや、やることが前提のものを実行するのは当たり前
⇒実行すること自体ではなく、具体的に何をするのかを相手に伝えないと意味がない

 これらはメールやメモなど、他のメディアでも使われるものだが、特にプレゼンでよく見かける言葉だ。「絶対に使ってはいけない」というものではないが、使用の際は細心の注意を払ってほしい。

杉野幹人(すぎの・みきと)
A.T. カーニーマネージャー 東京農工大学工学部特任教授
東京工業大学工学部卒。INSEAD MBA修了。早稲田大学商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)大学卒業後、NTTドコモに就職。シリコンバレーで仕事を共にした500人以上の起業家のプレゼンや提案資料から、箇条書き(Bullet points)で短く魅力的に伝えることのパワーとその技術を学ぶ。世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを修了後に、グローバル経営コンサルティングファームのA.T.カーニーに参画。経営戦略、マーケティング戦略、新規事業、経営会議運営支援等の幅広い経営コンサルティングプロジェクトを手掛けている。箇条書きを用いた経営者向けのプレゼン・資料作成の経験は300回を超える。現在は、箇条書きを基礎としたストーリーライティングの技術を東京農工大学でも教えている。著書には単著として『使える経営学』(東洋経済新報社)、『会社を変える会議の力』(講談社現代新書)、共著として『コンテキスト思考』(東洋経済新報社)がある。