動画の字幕はインプットの敵!?
情報過多で理解度が低下する危険大

 しかし、マルチメディアなら何でも効果的だというわけではありません。

 YouTube動画にも、インプットに効果的なものとそうでないものがあります。

 例えば、動画の「字幕」には要注意です

 これは少し意外かもしれません。字幕があることで、「聞く」に「読む」が追加され、耳で聞いたことを文字で再確認できるので、なんだかインプットの効果が上がりそうな感じもします。

 実際、動画の重要ポイントやキーワードなどが、文字として表示されているような場合には、インプットの効果が上がることが確認されています(4*)。

(4*)…Ritzhaupt A.D.,Barron A.(2008).“Effects of Time-Compressed Narration and Representational Adjunct Images on Cued-Recall,Content Recognition,and Learner Satisfaction.”Journal of Educa- tional Computing Research,39(2):161-184.

 しかし一方で、ナレーションを全て文字に起こした字幕は逆効果になってしまいます。

 なぜなら、音声からの情報にプラスして字幕を出すことで、動画から発信される情報量が増えすぎて、私たちのワーキングメモリーがパンクしてしまうからです。

 つまり、字幕をつけると、必要ない部分の情報も文字情報として動画に出てきてしまい、それにワーキングメモリーの容量を無駄にとられてしまうので、うまく集中できずに理解度そのものが落ちる傾向があるのです。

 映画の字幕に気をとられ、登場人物の表情を見逃したり、その場の雰囲気が理解できなかったりするというのも、似たような理由からだと考えることができます。

 新しいことをインプットするときは、字幕をONにして情報量を無駄に増やしてしまわないように気をつけましょう。