新NISAブームに踊らされた高齢者の末路 年金暮らしになる前の資金形成の時期には、iDeCoや新NISAを使ってお金を増やすことはとても大事。しかし、60歳以降の資産取り崩しのステージでは、必ずしも有効な手段ではなくなる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

定年後を見据えた老後資金、どうしていますか?すでに投資を始めている人、投資は不安で二の足を踏んでいるという人もいるでしょう。投資にはリスクがつきものです。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは、投資などしなくても、公的制度を賢く利用して「減らない財布」を手に入れることで、豊かな老後生活が送れるといいます。長尾さんの著書『投資ゼロで老後資金をつくる』(青春出版社)から、安心の老後を無理なく築くためのシミュレーションを、一部ご紹介します。

老後資金は「運用しないと損をする!」という誤解

 2024年から新NISAが始まり、関連本が続々と出版されるなどマスコミでも多く取り上げられました。まさに「新NISA」の一大ブームになったのです。

 定年後の老後資金も、新NISAを使って運用する方法がいくつも紹介されています。

 たしかに、定年前(年金暮らしになる前)の資金形成の時期には、iDeCoや新NISAを使ってお金を増やすことはとても大事です。

 しかし、60歳以降の資産取り崩しのステージでは、必ずしも有効な手段ではなくなります。

 新NISAを使って、運用がうまくいけば資産寿命は延びますが、少しだけです。長寿時代においては、まったく足りません。

「運用すれば、お金は増える。資金寿命もうんと延びるでしょう?」

 そう考える人も多いと思います。

 はたして、どれほど資金寿命が延びるのか。