すると、なんと86歳で老後資金が0になってしまいます。その後は、ずっとマイナスです。

 家計をかなり切り詰める必要があるでしょう。これだと老後生活は厳しいかもしれません。

60歳夫婦世帯:新NISAで運用した場合

 では、同じ夫婦が新NISAを使って運用した場合を考えてみましょう。

 60歳のときに老後資金が1500万円あります。これを毎年200万円ずつ5年に分けて、1000万円を新NISAで運用します。残りの500万円は預貯金のまま取っておきます(つみたて投資枠&成長投資枠を併用)。

 新NISAでの運用利回りは、ちょっと手堅く2%の運用で考えます。

 毎年2%で運用したとすると、69歳の時点で運用益は約169万円くらい出ています。69歳のときには、新NISAと預貯金、さらに生活費の黒字分を貯蓄に加えていくと、合計で約1800万円になっています。老後資金がそれなりに増えた印象があります。

 70歳以降は、新NISAの資金から取り崩します(運用は継続)。

 新NISAの資金がなくなるのは、82歳の時点です。それから預貯金の取り崩しになりますが、それも89歳で尽きてしまいます。それ以降の収入は年金だけです。

 運用しなかった場合に比べて、4年間は資金寿命を延ばすことができました。何もしないよりはましですが、十分とはいえません。89歳以降はちょっと不安な生活が続くことになります。

 仮に、新NISAが年3%で運用できたとします。

 その場合は、83歳まで新NISAの資金がもちます。84歳から預貯金の取り崩しが始まり、90歳まではお金がもちます。

 もちろん、4%で運用できれば、資金寿命はもっと延びます。とはいっても、ずっと3%や4%で運用できることはありません。価格は、毎日上がったり下がったりします。その平均が3~4%というわけです。しかも、過去のデータであり、今後どうなるかはわかりません。