老後資金は貯めるな!

 3つのシミュレーションでわかる通り、年2~4%で運用したとしても、資金寿命を延ばせるのはほんの数年です。もっと資金寿命を延ばすには、取り崩す額を減らすしかありません。資産寿命を延ばすために生活の質を落としたら、豊かで安心な老後生活とは言えなくなります。

 しかし、年金の繰下げ受給をすると、受給額が増えます。年間では8.4%です。運用の目標である2~4%よりずっと利率がいいのです。

 しかも、この年8.4%は上がったり下がったりせず、ずっと同じ割合で増額します。

 60~65歳までコツコツ貯めてきた老後資金の一部は「繰下げ受給をするための生活費」として使うのが正解です。

 そうなると老後資金は先に取り崩すため、減ってしまいます。減っていく貯蓄残高を見ると、たしかに心配になるかもしれません。とはいえ、70歳まで年金を繰り下げれば、受給額は42%増えます。その後はお金の心配がなくなり、暮らしはとても豊かになるのです。

 60代で繰り下げている時期のお金の心配をするか、老後中盤以降、どんどん少なくなっていくお金の心配を生涯するか。どちらを選びますか?