「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、この夏『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。今回は出版を記念して本文の一部を抜粋・再編集してお届けします。

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「そんなつもりはないのに...」親といつもケンカになってしまう

「そんなつもりはないのに歳をとった親といつもケンカになってしまう」。こんなご相談をよくいただきます。ツラいですよね。

 もし、親とケンカばかりしてしまうという方は、イソップ童話の北風と太陽の意識を使いわけてみるのがいいかもしれません。

 イソップ童話の『北風と太陽』をご存じでしょうか。北風と太陽が力比べをするお話です。力比べの内容はというと「通りかかった旅人の服をどちらが脱がすことができるか」というものです。

 北風は、旅人に猛烈な風を吹き付けて、強引に服を引き剥がそうとしますが、うまくいきません。一方、太陽は旅人をポカポカと温めることで、旅人が自発的に「服を脱ぎたい」と思うようにしました。この勝負では、太陽に軍配が上がりました。

 この物語に登場する「北風」のように、無理やり相手を動かそうとしても、往々にしてうまくいきません。