車名のSEALはアザラシ
第2弾のDOLPHINとともに海洋シリーズ

 シールで、まず驚かされるのが価格だ。ラインアップは駆動方式だけが異なるシンプルな2本立て。魅力的な仕様とスペックを誇り、シングルモーターのRWDが528万円、ツインモーターのAWDが605万円とリーズナブルだ。しかも導入記念の最初の1000台はそれぞれ495万/572万円とさらにお買い得な設定となっている。

 気になる一充電当たりの航続距離はAWDで575km、RWDは640kmに達する。全車ナッパレザーシート、19インチアルミ、パノラマガラスルーフなど装備は充実。システムモーター出力が360kW/670kWと異なる以外、駆動方式による大きな差はない。

 BYDには王朝シリーズと海洋シリーズがある。車名のSEALはアザラシを意味し、第2弾のDOLPHIN(イルカ)とともに海洋シリーズに属する。

 日本でアザラシは、どちらかというとユーモラスなイメージがあるように思う。だがBYDのアザラシはなかなかカッコイイ。クーペライクなスタイリッシュなフォルムでCd値は0.219と良好だ。ボディサイズは4800×1875×1460mm。日本の道路環境でも持て余す心配はない。

 各部の造形は凝っている。海洋シリーズらしく、フロントバンパー横には海の波を想起させるC字型を反復したイルミネーションが配されており、シーケンシャルウインカー付きのテールライトは、空と海の広大さを表現したという。

 ブラックで統一されたインテリアは精悍な印象。躍動感のあるデザインとするともに、随所にバックスキンやステッチが施され質感はハイレベルだ。率直にいって、ライバルとなるテスラ車よりも仕立てのよさは上回っている。加えて輸入車ながらウインカーレバーが右側にあるのも好印象である。

 BYDお得意のワンタッチで縦横に回転できるディスプレイは、大型15.6インチとなり、カーナビやインフォテインメントだけでなく、ステアリングの重さや回生ブレーキの強さなど走りに関する設定も選べるようになっている。テスラほど極端ではないが、ディスプレイに各種機能を集約するという発想は共通だ。

 室内スペースは十分以上。ビッグキャビン造形のメリットを活かし、後席の居住スペースはゆったりとしている。シールは“CTB=セル・トゥ・ボディ”という新しい構造を採用し、電池パックにボディ構造の役割を持たせた。とはいえフロア下にBYDならではのリン酸鉄リチウムイオン電池を用いたブレードバッテリーが敷き詰められていることに変わりはない。フロアはやや高め。それでも3m近いホイールベースも効いてひざ前のスペースは実に広々としている。ドルフィンと同様に後席には幼児置き去り検知システムが装備され、広いパノラマルーフのおかげでどの席に座っても開放感を満喫できる。

 400Lの容量を持つトランクは奥行きがかなり長い。フロントにも50Lの収納スペースが設けられているのも重宝しそうだ。