日本最大手の鉄鋼メーカー・日本製鉄は、米国で企業買収することで中国の輸出攻勢に対抗できると期待した。米国では中国のライバル企業から守ってもらえるからだ。ところが同社は、米国の政治が同じくらい厄介な敵だと気付いた。
日本製鉄の140億ドル(約2兆円)規模でのUSスチール買収計画が実現する可能性は既に小さくなっていたが、ジョー・バイデン米大統領が大統領権限を行使してこの買収を阻止する構えを示していることで一段と小さくなった。この問題に詳しい人物が明らかにした。
アジアおよび世界各地の鉄鋼メーカーの多くと同様に、日本製鉄は中国勢との競争で打ちのめされている。中国は、不動産不況のため国内で不要になった鉄鋼で世界の市場をあふれさせるとともに、自国が支配的な地位を占める鉱石の供給も増やしている。これが価格押し下げの一因となっている。