また、無農薬の場合、機械の稼働時間が増えるだけでなく、一部の機械の寿命を削ることもあります。特に雑草が問題です。雑草が多いとロータリーで耕す時に草が絡まり性能を低下させますし、消耗品の爪も寿命が縮みます。

 ロータリーにからまった草を除去する手間も大変です。そのため農家は、耕す前に草を刈って燃やしてしまうことも多いのですが、そんな手間も増えます。

 コンバインも雑草が生えまくっているところで稲刈りをしていると効率が悪いだけでなく、機械の能力以上の草を処理していかなければならないこともあり、やはり機械のトラブルを頻発させる上に機械の寿命も縮めます。

 雑草の量にもよりますが、多いと普通なら10年使える1000万円のコンバインが5年で寿命を迎えるようなことがあっても不思議ではありません。

有機農業はいずれ衰退する運命?
「無農薬」を実現する“農薬”も開発中

 そうした事情を知っている人の中には、農水省が有機農業を推進するのは、耕作放棄地対策としてやっているのではないかと勘ぐる人もいます。耕作放棄地は農政上大きな問題にされています。有機農業によって生産量が落ちれば、その分農地が必要になるから耕作放棄地を減らせると農水省は考えているのではないかというわけです。