業績となる仕事が発表されて8年での受賞は、2006年にiPS細胞を作って2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞することになる山中伸弥氏ほどではありませんが、相当に早い受賞になるのは間違いありません。

 RNA干渉のことを説明するために若干、高校の生物の復習をします。

 人間の遺伝子情報は細胞核の中に存在するDNAに記録されています。DNAはアデニン・グアニン・シトシン・チミンという4つの塩基が組み合わされて二重らせん構造を持っています。

 この、らせんのうちひとつの情報を転写して核の外に移動して、どんなたんぱく質を作ればいいのかをリボゾームに伝えてたんぱく質を作らせるのがmRNA(メッセンジャーRNA)です。

実質無農薬の「農薬」は
2030年には実用化する?

 mRNAの伝える遺伝情報は完璧なものばかりではなく、中には特定の病気や体の欠陥を形成させるようなものもあります。そうした、よくない遺伝子情報を持つmRNAがどれなのか特定する遺伝子配列をもつsiRNAが作られ、siRNAがRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と結びついて破壊する機構を全ての生物が持っています。こうした作用機構をRNA干渉と言います。