農水省は有機農業を潰したいのかと考える人もいます。有機農産物は希少性があるので高く売れるが、農産物の25パーセントが有機になったりしたら高く売れなくなるので有機農業が衰退してしまうと心配しているわけです。

 実際、有機農業が日本の農地の3パーセント、5パーセント程度の段階に達しても、希少性がなくなって高く売れなくなり、有機農業が衰退することになると私も思います。

 そうした農水省の“陰謀”が的を射ているとは思いませんし、実際は一部の無農薬によいイメージを持つ国民へのリップサービス的な側面もあるかも知れません。また、近い将来、今の基準で言うところの「無農薬」を実現する“農薬”が実現しそうなことも農水省は知っています。これはRNA農薬と呼ばれる農薬で「みどりの食料システム戦略」にも記載されています。

 RNA農薬とはRNA干渉(RNA interference)を利用した害虫防除法を使う農薬です。1998年にこの現象が発見され、発見者のアンドリュー・ファイアーとクレイグ・メローは2006年のノーベル医学・生理学賞を受賞します。